金は『安全資産』とも呼ばれることもあり、戦争・テロなどで世界情勢が不安定な時や、株式相場が急変した時などに価格が上がる傾向がある。逆に安定している時には価格は下がるようだ。
2000年から現在(2023年11月現在)にいたるまで、金の価格は上がり続けているが、ここ数年の急な価格上昇は、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ・イスラエル戦争などで情勢が不安定であることが理由の一つとしてあげられるだろう。
金の価格推移
1グラムあたりの小売価格(最高値)をグラフ化した。期間は1973年~2022年までの49年間分となっている。
<上昇>
1973年に価格は上昇をはじめ、1979年から1980年にかけてはバブル的な爆上がりを見せている。オイルショックや戦争による社会情勢の不安が要因であると考えられている。
1973年:第1次オイルショック
1979年:第2次オイルショック、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻
1980年:イラン・イラク戦争開戦
<下落>
1981年以降は2000年まで延々と下がり続けている。ただただ平和な20年であったわけではないが、大局的に見れば社会情勢が安定していた期間といえる。
<上昇>
2000年台には世界を震撼とさせる出来事がいくつも発生した。下記にあげた事件をグラフに当てはめてゆくと、その度に金の価格が強い上昇を見せていることがわかる。
2001年:同時多発テロ
2008年:リーマンショック
2020年:新型コロナウィルス
2022年:ロシアのウクライナ侵攻
貨幣価値は下がり続ける
『昔の1万円は、現在では4万円の価値がある』といった話を聞いたことがないだろうか。この話が本当ならば、昔の1万円を大事に保管していた場合、その価値は4分の1になってしまうということだ。
貨幣価値の推移を知るモノサシとして使えるのが『消費者物価指数』だ。なんだか難しそうだが、グラフの見方は簡単だ。グラフが右に上がった分だけ物価が上がり貨幣価値は下がっているのだ。
例えば、1973年から2022年までの間に、どのくらい物価が上がったかを見てみよう。計算方法は2022年の指数を1973年の指数で割れば良い。
102.7(2022年の指数) ÷ 38.7(1973年の指数) = 2.653
物価は約2.7倍に上がった。つまり貨幣価値はこの49年間で2.7分の1に下がったことになる。1万円を持ち続けた場合にその価値は約3700円に、金に換えていればその価値は約7万円になったことになる。長い目で見たとき、現金で長期保有するという選択肢はないのかもしれない。
まとめ
情勢が不安定で先行き不透明な昨今、もう暗いニュースはお腹一杯と言いたいところだが、追い打ちをかけるように近い将来、台湾有事や巨大地震が発生する確率が高いと言われている。金の価値はあがらなくてもよいから、平和な世の中になって欲しいものだ。