【大地震の謎】なぜ予防できないのか?

AI、自律走行ロボット、宇宙開発など技術進化が目覚ましい昨今において、なぜこれだけの被害をだしている大地震を未然に防ぐことができないのか?

地震とは

地球内部ではマントルが対流しており、その影響を受けて我々人間が立っているプレート(地面)も少しづつ移動している。数億年前の大陸と、現在の大陸の形状が異なるのはこの移動によるものだ。そして地震は、このプレートの移動による岩盤のずれやひずみが原因となって発生する。

地震は人類にとって非常に恐ろしいものだが、地球の構造としてはごく当たり前で自然な現象である。 

主な地震の種類

<活断層型地震>

プレート内部で発生するのが活断層型。地殻内地震とも呼ばれ、陸地のプレート内部の断層運動により発生する地震。日本の陸域には約2000の断層があり、未発見の断層もあることから予測が困難とされている。阪神・淡路大震災や能登半島地震はこの活断層型地震に分類される。

<海溝型地震>

プレート間で発生するのが海溝型。海側のプレートが地下に向かって沈みこんでいく時に、接している陸側のプレートも一緒に引きずりこまれる。やがて耐えきれなくなった陸側のプレートは、バネのように跳ね上がることで地震が発生する。東日本大震災や近い将来に発生すると言われている南海トラフ地震などが海溝型地震に分類される。

日本で地震が多い理由

理由1:4つのプレート

日本は4つのプレートの繋ぎ目に位置しており、定期的に海溝型地震の被害を受ける場所に存在している。

これまでの統計から、南海トラフ地震は100年から150年周期で発生すると言われている。現在も少しずつ、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでおり、いつかどこかのタイミングでユーラシアプレートが一気に跳ね上がると予測されている。前回の南海トラフ地震から100年経過まで残すところ約20年となっている。

※前回の南海トラフ地震(昭和東南海地震)は1994年に発生

理由2:2000の活断層

4つのプレートだけでも十分恐ろしい環境だが、日本の陸域内には約2000の断層と未発見の断層が存在している。

なぜ予防できないのか?

予防の手段

以下の動画(Ξチャンネルさん)は、和歌山県立自然博物館が製作した模型で、海溝型地震がどのようにして発生するかを再現している。大陸プレート(左側)が、海洋プレート(右側)に引きずり込まれては、跳ね上がる様子が再現されており、引きずり込まれる距離が短いほど震度は小さく、距離が長いほど震度が大きいことが見て取れる。

引きずり込まれた距離が短いうちに、人為的に『ひっかかり』をはずすことが出来れば、震度を小さく抑えられるのではないか? エネルギーの蓄積が少ないうちに開放することが唯一の予防手段なのではないか? 模型を見ているとなんだか容易に実現出来そうな気がしてくるが、そんなに簡単な話ではない。

『ひっかかり』をはずせない

模型を対象にして考えれば、大陸プレートを指でチョンと触れれば『ひっかかり』は簡単にはずせるだろう。しかし現実の規模になると話は一気に難しくなる。

誰でも最初に思いつくであろう強力な爆弾による爆破や、弾性波発生装置のようなものを開発して放射線治療のように『ひっかかり』を早期に破壊する方法などアイディアは多岐に渡るだろうが、全て実現するには至っていない。

仮に実現可能ななんらかの方法が見つかったとしても、そのほとんどは国の実行許可が下りないだろう。その方法を実行することで、別の大きな地震を誘発する可能性があるからだ。

震源の深さの問題

仮に安全に『ひっかかり』をはずす方法が見つかったとしても、今度は震源の深さが問題になる。日本海溝の水深は約8,000m、南海トラフの水深が約4,000mあるとされている。世界で最も深く潜れる有人潜水艇「リミティングファクター」の最大深度は11,000mであり、どちらの海溝にも到達することはできる。しかし、探査艇に出来ることは映像撮影やアームを使用したサンプル採取など限られており、大規模工事のような作業を行うことは出来ないだろう。また弾道ミサイルなどを搭載できる潜水艦の最大深度は、各国の機密情報となる為明確ではないが、航行可能深度はおよそ500mと言われており、水深が浅めの南海トラフにも到達は出来ない。

規模の問題

仮に先の2つの問題を解決したとしても、今度は規模の問題がある。日本海溝や南海トラフはともに700km弱の規模となっている。何かを行う対象としてはあまりに広大すぎるのだ。

まとめ

あらゆるデバイスが世界と繋がってAIが何でも教えてくれる現在でも、地震を未然に防ぐような自然に抗う能力はまだないようだ。残念ながら地震に予防はない。我々に出来る事前の備えだけは、しっかりとやっておきたい。