『がん治療の流れ』を5分程度で読める内容にまとめています。時間に余裕がある方は『がん情報サービス』などの最新情報をご覧ください。
がん治療の流れ
Phase1:がん発見
『がん』は、健康診断や体調に異常を感じて受けた検査などで発見される。基本的に早期発見が完治の為の重要な要素となるので、定期的に検査を受けることが推奨される。
『がん』はその進行度(レベル)にもよるが、他の臓器に転移している可能性がある。レベル3以上の場合などには他の臓器もCTやMRIで検査することになるが、多少コストがかかっても徹底的に調べたほうがいい。大腸がんの患者が手足にしびれを感じて検査したところ、脳への転移が見つかったといった事例もある。
Phase2:病院を決める
『都道府県がん診療連携拠点病院』は各都道府県および厚生労働省の審査を経て指定される、がん医療の先導的役割を担う病院。特定の医師や病院がないのであれば『都道府県がん診療連携拠点病院』は候補の一つとなるだろう。
以下のページでは医療実績の調べ方を掲載している。特定の病気の病院別治療件数などを知りたい場合は参考にしてみてほしい。
Phase3:標準治療を受ける
【標準治療】がんの3大治療
がんになると『がんの3大治療』と呼ばれる治療が行われる。症状に見合った治療が下記の3つのうちから行われる。完治もしくは有効な治療が尽きるまで標準治療は続けられる。
No | 治療 | 概要 |
① | 放射線治療 | がん細胞とその周辺のみ治療する放射線局所療法。以下いずれかの目的で行われる。 ・完治 ・苦痛を取り除く ・手術前に腫瘍を小さくする |
② | 手術治療 | がん細胞をメスで切り取る局所療法。 |
③ | 薬物治療 | 薬物療法は以下いずれかの目的で行われる。 ・完治 ・苦痛を取り除く ・がんの進行を抑える 薬物療法で使用される薬は大別すると以下3種となる。 ・細胞障害性抗がん薬:一部細胞の増殖を阻害し、がん細胞を攻撃する薬。 ・内分泌療法薬:ホルモンの分泌や働きを阻害することでがんを攻撃する薬。 ・分子標的薬:タンパク質など特定の分子のみに作用する治療薬 |
【標準治療】その他の検査・療法
標準治療には3大治療に加えて以下のような検査や療法がある。
No | 検査・療法 | 概要 |
① | がん遺伝子検査 | 一部のがん(肺がん、大腸がん、乳がんなど)では、医師が必要と判断した場合にがん遺伝子検査が行われる。1つまたは少数の遺伝子を検査し、検査結果に基づいた診断や薬の選択を行う。 |
② | 免疫療法 | 3大治療に次ぐ第4の治療と呼ばれることもある。効果が証明された免疫療法は標準治療で受けることが出来る。使用される主な薬は免疫ががん細胞を攻撃する力にブレーキがかからないようにする「免疫チェックポイント阻害薬」。同薬は2018年に本庶佑博士がノーベル医学生理学賞を受賞したことで注目を集めた薬で、薬物治療の分子標的薬の一つに分類される。 |
Phase4:標準治療を終えてしまったら
がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査)
完治することなく標準治療で打てる手がなくなった、またはそもそも標準治療が行えないなどの条件を満たす患者を対象に、一部保険診療で「がんゲノム医療」が行われる。
標準治療で行う『がん遺伝子検査』とは異なり、多数の遺伝子を同時に調べる検査である『がん遺伝子パネル検査』(がんゲノムプロファイリング検査)を行い、この検査結果をもとに、より患者個人に特化した薬を使って治療を行うものとしている。ただし、厚労省の調査結果によると、2019年10月末時点で、同検査が治療に結びついた患者の割合は10.9%と、かなり低い統計が報告されている。
がんゲノム医療で効果的な薬が見つからなかったなら
がんゲノム医療で効果的な薬が見つからなかった場合、医師からは以下のような説明や宣告を受ける。
・使用できる抗がん剤等の残数について
・抗がん剤が切れた後は、病院で行える治療はなくなること
・だいたいの余命
・セカンドオピニオンについて
・緩和ケアについて
Phase5:セカンドオピニオン
『別の医師の意見も聞いてみたい。』というのが良く知られるセカンドオピニオンだが、『臨床試験や治験を行っている医師の意見を聞いてみたい、可能なら臨床試験を行って欲しい』といったこともできる。いずれの場合も、担当医にセカンドオピニオンを希望する旨を伝える必要がある。
Phase6:残された選択肢
標準治療・がんゲノム医療・セカンドオピニオンで打つ手がなくなると、残される選択肢は以下のようなものとなってくる。いずれも効果が証明されておらず、自由診療の治療においてはかなり高額になる。いずれを選択するにせよ、一度は担当医と相談した方がよいだろう。
・効果の証明されていない免疫療法や遺伝子療法(自由診療)
・健康食品・サプリ・漢方
Phase7:緩和ケア
身体的・精神的な苦痛を和らげることを目的とした緩和ケア。フェーズ7に緩和ケアを掲載したが、実際にはがんと診断されたその時から緩和ケアは始まっているとされている。精神的な苦しみや身体的な痛みなどがあれば、担当医や看護師などの緩和ケアチームに相談し、サポートしてもらうこととなる。
まとめ
2023年10月時点での『がん治療の流れ』について調べた結果をまとめています。掲載している情報に誤りや訂正が必要な個所がございましたら、問い合わせフォームよりご連絡ください。